給与・年末調整

【2026年分】外国人の従業員の年末調整:居住者・非永住者の区分、国外の家族の書類、名前の書き方

私も年末調整はマネーフォワード クラウドで行っていました。つまずいたのは、外国人の従業員と扶養の処理です。

結論

外国人の従業員の年末調整は、「居住者か」「国外の家族を扶養に入れるか」「名前をどの表記でそろえるか」の3つを確かめ、国外の家族の書類は10月のうちに声をかけます。

先に確かめる3つ

  1. その人は「居住者」か — 年末調整の対象は居住者だけ。国籍では決まりません。非永住者も居住者なので対象です
  2. 国外に住む家族を扶養に入れるか — 入れるなら、家族ごとに「家族だと分かる書類」と「その年に送金した記録」が要ります。30歳以上70歳未満の家族は、条件がさらに付きます
  3. 名前をどの表記でそろえるか — 在留カード(住民票)の表記に合わせ、給与ソフト・申告書・源泉徴収票で同じにします

国外の家族の書類は集めるのに時間がかかるので、10月のうちに声をかけるのが段取りの要です。

この記事が役に立つ人

  • 従業員10人前後の会社で、年末調整を一人で担当していて、外国人の従業員がいる人
  • 従業員から「国の家族を扶養に入れたい」と言われて、何を集めればいいか迷っている人

1. 居住者・非永住者・非居住者の区分

年末調整の対象かどうかは、国籍ではなく 居住者かどうか で決まります。

区分どんな人か毎月の源泉徴収年末調整
居住者(非永住者以外)居住者のうち、非永住者に当たらない人(国内に住所がある人、または今まで引き続き1年以上国内に居所がある人)税額表で計算する
非永住者居住者のうち、日本の国籍がなく、過去10年のうち国内に住所・居所があった期間の合計が5年以下の人税額表で計算する
非居住者居住者でない人支給額に一律20.42%しない

「居住者(非永住者以外)」は税の区分で、在留資格の「永住者」とは別の意味です。

出典 → No.2875 居住者と非居住者の区分(国税庁)/No.2010 納税義務者となる個人(国税庁)/日本における給与に係る源泉徴収制度の概要(国税庁・外国人向けリーフレット)

入国してすぐの人は、どちらになるか

日本で働くために来て、国内で1年以上住むことが通常必要な仕事に就いた人は、国内に住所があると推定されます。 入国から1年たっていなくても居住者として扱われるのが基本です。ただし、雇用契約などで 在留が最初から1年未満と明らかな場合 は、この推定は働きません。→ 別紙 住所の推定(国税庁)

担当者が見るのは、在留カードの在留期間と、雇用契約の期間です。入社のときに写しをもらっておくと、年末に慌てずに済みます。

非永住者で変わるのは、国外の所得の扱い

非永住者は、国外で生じた所得のうち、日本で支払われたものか日本に送金されたものだけに課税されます(No.2010)。会社が払う日本での仕事の給与は、日本人の従業員と同じように年末調整をします。区分の違いが効いてくるのは、本人が国外に所得を持っている場合です。

非居住者は年末調整をしない

非居住者は扶養控除等申告書を出すことができず、年末調整の対象にもなりません(国税庁のリーフレット)。年の途中で出国して非居住者になる人は、出国の時までに年末調整をします。詳しい段取りは 外国人の従業員が年の途中で退職・帰国するときの年末調整 にまとめています。

2. 国外に住む家族を扶養に入れるとき

外国人の従業員で、いちばん手間がかかるのがここです。国外に住む家族(非居住者の親族)について扶養控除・配偶者控除・特定親族特別控除などを受けるには、決まった書類を会社に出すか、見せる必要があります。

出典(この章はすべて)→ 国外居住親族に係る扶養控除等Q&A(国税庁・最終改訂 令和8年8月)

家族の年齢で、扶養に入れられるかが変わる

年齢は その年の12月31日の時点 で判定します(Q4)。

家族の年齢(12月31日)扶養控除に入れられるか
16歳未満所得税の扶養控除の対象ではない
16歳以上30歳未満入れられる
30歳以上70歳未満次のどれかに当てはまる人だけ ①留学で日本を出た人 ②障害者 ③その年に、従業員から生活費や教育費を 38万円以上 受け取っている人
70歳以上入れられる

2026年分から、扶養親族の合計所得金額の要件は 62万円以下 です(改正前は58万円以下)。19歳以上23歳未満の家族は、合計所得金額が62万円を超えても、一定の額までは 特定親族特別控除 の対象になります。国外に住む家族でも、書類があれば受けられます(Q1・Q30)。月々の給与の源泉徴収で見込むのは、そのうち合計所得金額が100万円以下の家族(源泉控除対象親族)です(Q&Aの凡例)。

扶養の判定そのものの迷い所は 年末調整の扶養の処理で迷う所 にまとめています。

要る書類と、出すタイミング

書類中身出すとき
親族関係書類家族であることが分かる書類。日本の役所の書類(戸籍の附票の写しなど)+家族のパスポートの写し、または外国の役所が出した書類(出生証明書・婚姻証明書など。家族の氏名・生年月日・住所の記載があるもの)扶養控除等申告書を出すとき
留学ビザ等書類30歳以上70歳未満で「留学」に当てはまる家族だけ扶養控除等申告書を出すとき
送金関係書類その年に、家族それぞれへ生活費や教育費を送ったことが分かる書類(銀行の送金の記録、家族カードの利用明細など)年末調整のとき
38万円送金書類30歳以上70歳未満で「38万円以上」に当てはまる家族だけ。その年の送金の合計が38万円以上だと分かる送金関係書類年末調整のとき
  • 外国語の書類には、日本語の訳文も要ります(Q14)
  • 親族関係書類は原本(パスポートの写しを除く)。送金関係書類は写しでもかまいません(Q12)
  • パスポートの写しは、氏名・生年月日のある身分事項のページ です(Q23)
  • 配偶者控除・配偶者特別控除・特定親族特別控除を年末調整で受けるときは、その申告書を出すときに親族関係書類と送金関係書類が要ります。年の初めに扶養控除等申告書と一緒に親族関係書類を出していれば、もう一度出す必要はありません(Q2の表・Q30)

書類の中身をもっと詳しく知りたいときは 国外に住む家族を扶養に入れるときの書類 へ。

送金の記録で、よく引っかかる所

よくある状況国税庁Q&Aの答え
家族3人分を、代表の1人にまとめて送っている送金関係書類になるのは 受け取った1人の分だけ。ほかの家族の分にはならない(Q34)
海外の共同名義の口座に送っている家族一人ひとりに送ったと分からなければ、送金関係書類にならない(Q35)
知り合いに現金を持って行ってもらっている送金関係書類がないので、扶養控除等は受けられない。「現金で渡した」という申立書も書類にはならない(Q39)
12月末に送金して、家族の口座に入ったのが1月送金した日の年 の分として数える(Q7)
翌年分もまとめて送った送った年の分にしかならない(Q36)
同じ家族に年3回以上送っている明細書を出し、その年の最初と最後の送金の書類を出せば、ほかは省ける。省いた分は本人が保管する(Q32)
送金の手数料38万円の判定に、手数料を含めてもよい。ただし38万円送金書類に手数料の額が書いてある場合だけ(Q7)

30歳以上70歳未満の家族で、その年の送金の合計が38万円に届かなかった場合は、年末調整でその家族を扶養に入れられません(Q4)。月々の給与で扶養に入れていても、年末調整で外すことになります。

年末調整のとき、扶養控除等申告書をもう一度出してもらう

見落としやすいのがここです。扶養控除等申告書には 「生計を一にする事実」欄 があり、その年に家族へ送った金額の合計を書きます。この欄は年末調整のときに書くものなので、年の初めに出してもらった申告書には書かれていません(Q13)。

そのため、内容に変更がなくても、年末調整のときに次のどちらかをしてもらいます。

  1. 年の初めの申告書を本人に返し、送金の合計を書き足して、もう一度出してもらう
  2. 送金の合計を書いた申告書を、別に出してもらう

国外の家族の欄では、年齢などの当てはまる所にチェックを付けます(「16歳以上30歳未満又は70歳以上」「留学」「障害者」「38万円以上の支払」)。記載例は Q&A の Q46 に図があります。

親族関係書類は、毎年出してもらうのか

基本は、扶養控除等申告書を出すたびに出してもらいます(Q21)。家族であるかどうかは、申告書を出した日の状況で判定するためです。ただし、家族の関係や住所に変わりがなければ、前の年に見せた書類をもう一度見せる こともできます。その場合は、会社が本人に「前の年から変わりがないか」を確かめます。

パスポートの写しは、本人から「前に出した写しで確かめてほしい」と申し出があり、前の写しでパスポートが有効期間中だと確かめられるなら、出してもらうのを省けます(Q24)。

書類が年末に間に合わないとき

いつ出たかどうするか
年の途中で、親族関係書類が後から出た出た後に最初に払う給与から、扶養に入れて計算する(Q29)
年末調整のときに送金関係書類が出ないその家族を扶養に入れずに年末調整をする(Q44)
年末調整の後、源泉徴収票を作る前に出た扶養に入れて、年末調整を計算し直してもよい(Q44)
源泉徴収票を作った後に出た年末調整はやり直さない。本人に確定申告をしてもらう(Q44)

受け取った書類は、扶養控除等申告書と一緒に 7年間 保存します(Q17)。

16歳未満の子と、住民税

16歳未満の子は所得税の扶養控除の対象ではないので、障害者控除を受けない限り、所得税のための書類は要りません。ただし 住民税では、国外に住む16歳未満の扶養親族について、書類を市区町村に出す場合があります(Q15)。扱いは本人が住む市区町村に確かめます。

3. 名前の書き方

外国人の住民票と在留カードの氏名は、アルファベットで書くのが原則 です。漢字を併記したり、通称を住民票に載せたりする人もいます。→ 外国人住民の方の住所と氏名の手続(北九州市)

担当者がそろえておくと楽になるのは、次の3つです。

  • 給与ソフトには、在留カード(住民票)の表記どおりに登録する — 姓と名の順番・スペース・ミドルネームまで同じにしておくと、申告書・源泉徴収票・給与支払報告書が同じ表記になり、突き合わせで迷いません
  • カタカナの読みは、読み仮名として別に持つ — 社内で呼ぶ名前と、書類に書く名前を分けておきます。給与支払報告書の「フリガナ」欄は、名古屋市の案内では アルファベットで書く ことになっています(給与支払報告書の作成と提出についてよくあるご質問(名古屋市))。提出先の市区町村の案内に合わせます
  • 通称が住民票に載っている人は、どちらで登録するかを決めて、全部の書類でそろえる

国外の家族の書類で、旧姓で書かれていて同じ人だと分からない ときは、旧姓と今の姓の関係が分かる書類(パスポートの写しなど)も一緒に出してもらいます(国税庁Q&A Q20)。

マイナンバーは、住民票のある外国人にも付いています。日本人の従業員と同じように集めて管理します。→ 外国人住民の皆様へ マイナンバー制度とマイナンバーカードについて(総務省・デジタル庁)

4. 担当者の段取り表(10月〜1月)

国外の家族の書類は、本人が母国の家族に頼んで取り寄せることが多く、時間がかかります。日本人の従業員より 1か月早く 動くつもりで組みます。

時期担当者がやること従業員に頼むこと
10月上旬外国人の従業員の一覧を作る(在留カードの氏名・在留期間、入国日、雇用契約の期間)。区分(居住者・非永住者・非居住者)を確かめる。年内に帰国する予定がないか聞く国外の家族を扶養に入れるか、家族ごとの年齢と続柄を教えてもらう
10月中家族ごとの確認表(下の表)を作る。30歳以上70歳未満の家族は、38万円に届きそうかを本人と確かめる送金の記録を集め始めてもらう。来年分の申告書に使う親族関係書類(原本と日本語訳)を取り寄せてもらう
11月今年分の年末調整の書類と、来年分の扶養控除等申告書を配る今年分の扶養控除等申告書の「生計を一にする事実」欄に送金の合計を書いてもらう。送金関係書類を出してもらう
12月前半書類を家族ごとに照合する(下の表)。そろわない家族は本人と相談する12月に送る分があれば、年内に送金してもらう(送金した日の年の分になる)
12月の最後の給与年末調整をする。送金関係書類が出ていない家族は、扶養に入れずに計算する—
1月源泉徴収票を渡す。給与支払報告書を市区町村に出す(どちらも1月31日まで。2027年は1月31日が日曜日のため、給与支払報告書の期限は2月1日(月))。来年分の申告書と親族関係書類を確かめる源泉徴収票を作った後に書類が出てきた場合は、本人に確定申告をしてもらう

年末調整の全体の流れ(書類の配布・計算・源泉徴収票)は 年末調整がよくわかるページ(令和8年版)(国税庁) で確かめられます。来年分の申告書で変わる所は 令和9年分の扶養控除等申告書で変わること にまとめています。

国外の家族ごとの確認表

家族1人につき1行で使います。

確かめること見る所根拠(国税庁Q&A)
12月31日の年齢と、扶養に入れられる区分16〜29歳・70歳以上/30〜69歳は留学・障害者・38万円以上のどれかQ1・Q4
家族だと分かるか親族関係書類の原本と日本語訳。祖父母・兄弟姉妹などは複数の書類の組み合わせになることがあるQ8・Q26・Q28
送金がその家族本人あてか送金の記録の受取人の名前。代表の1人にまとめた分は、その1人の分だけQ10・Q34
送金がその年のものか送金した日(家族カードは利用日)Q7・Q42
38万円に届いているか(30〜69歳で③の人)その年の送金の合計。手数料は書類に額がある場合だけ含められるQ4・Q7・Q11
申告書に書いてあるか扶養控除等申告書の「非居住者である親族」のチェックと「生計を一にする事実」の金額Q13・Q46

5. 従業員に配る文の見本

そのまま使えるように、やさしい日本語と英語で書いています。日付と提出先は会社に合わせて直してください。

10月:国外の家族を扶養に入れる人へ

【年末調整】国の家族を扶養に入れる人へ

国に住んでいる家族を扶養に入れるには、次の書類が必要です。
家族1人ずつ、用意してください。

1. 今年、家族にお金を送った記録(銀行の送金の記録など。コピーでよい)
   ・家族1人ずつ、その人の名前あてに送った記録が必要です
   ・1人にまとめて送った分は、その1人の分にしかなりません
   ・現金を手で渡した分は、使えません
2. 来年のための、家族であることが分かる書類(出生証明書・結婚証明書など。原本)
   ・パスポートのコピー(名前と生年月日のページ)も必要な場合があります
3. 外国語の書類には、日本語の訳をつけてください

30歳から69歳の家族は、今年の送金の合計が38万円以上でないと、
扶養に入れられない場合があります。

提出:11月○日(○)までに、○○へ

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[Year-end tax adjustment] For employees who support family members living abroad

To claim your family members living outside Japan as dependents,
please prepare the following for each family member.

1. Records of money you sent to them this year (e.g. bank remittance records; copies are OK)
   - Each record must show that you sent money to that family member by name
   - Money sent to one person for the whole family counts only for that one person
   - Cash handed over in person cannot be used
2. For next year: an original document showing your relationship (e.g. birth or marriage certificate)
   - A copy of the passport page with their name and date of birth may also be needed
3. Please attach a Japanese translation to any document in a foreign language

For family members aged 30 to 69, you may not be able to claim them
unless you sent a total of 380,000 yen or more this year.

Please submit by: ○○ (date) to ○○

1月:年の初めに

今年も国の家族にお金を送るときは、
・家族1人ずつ、その人の名前あてに、銀行などから送ってください
・送金の記録は捨てずに、1年分とっておいてください
年末の扶養の手続きで使います。

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When you send money to your family abroad this year:
- Send it to each family member by name, through a bank or similar service
- Keep all remittance records for the whole year
You will need them for the year-end tax adjustment.

6. そのほか、先に確かめておくこと

  • 租税条約 — 出身国と日本の間に租税条約があると、所得税が免除になる場合があります。免除を受けるには「租税条約に関する届出書」を、会社を通して税務署に出します(国税庁のリーフレット)。当てはまりそうな従業員がいれば、税理士か税務署に確かめます
  • 年の途中の帰国 — 出国の時までに年末調整をします。送金関係書類もそのときに出してもらいます(国税庁Q&A Q45)。→ 外国人の従業員が年の途中で退職・帰国するときの年末調整
  • 国外の家族の障害者控除 — 外国で交付された障害者手帳は、それだけでは日本の障害者控除の「障害者」に当てはまりません(国税庁Q&A Q6)

つまずきやすい所

  • 年の初めの申告書のまま年末調整をしてしまう — 「生計を一にする事実」欄が空のままになります。国外の家族がいる人には、11月に申告書を一度返します
  • 送金が家族ごとに分かれていない — まとめて送った分は代表の1人の分にしかなりません。年末に気づいても遅いので、1月の文の見本で年の初めに伝えておきます
  • 30歳以上70歳未満の家族の38万円 — 月々の給与では扶養に入れていても、年末の合計が足りなければ外します。10月の時点で見込みを確かめておきます
  • 名前の表記がばらばら — 在留カード、給与ソフト、社内の呼び名で表記が違うと、書類の突き合わせで時間を取られます

まとめ

  • 年末調整の対象は 居住者。非永住者も対象。非居住者は対象外
  • 国外の家族は 親族関係書類(原本と訳)+送金関係書類(家族ごと)。30歳以上70歳未満は留学・障害者・38万円以上 のどれか
  • 年末調整では、扶養控除等申告書の 「生計を一にする事実」欄 に送金の合計を書いてもらう
  • 名前は 在留カード(住民票)の表記 にそろえる
  • 段取りは 10月から。日本人の従業員より1か月早く動く

10月〜1月の年末調整全体の順番は 一人で担当する年末調整2026:10月から1月までの順番 に、年末調整をクラウドで回す場合の画面の流れは マネーフォワード クラウドで年末調整をする流れ にまとめています。