給与・年末調整

一人で担当する年末調整2026:10月から1月までの順番と、従業員に配る一言

結論

一人で担当する年末調整は、10月に「誰が特別か」を洗い出し、11月に配って回収し、12月の最後の給与で精算し、1月に納付・提出する、の4段です。

結論の中身

  • 2026年分は、改正の施行日が 2026-12-01 です。11月までの給与はいつもどおり、12月の年末調整でまとめて精算します(国税庁)
  • 1月の期限は、源泉所得税の納付が2027-01-12(火)(納期の特例を受けているなら、7〜12月分をまとめて2027-01-20(水))、法定調書と給与支払報告書が2027-02-01(月) です(令和8年分 年末調整のしかた・法定調書の手引)

私も年末調整はマネーフォワードで行っていました。つまずいたのは、外国人の従業員と、扶養の処理でした。

外国人の従業員と扶養は、書類の用意に時間がかかることがあるので、この記事では10月の時点で拾う順番にしています。

一人で担当する年末調整2026の工程(10月から2027年1月まで)
一人で担当する年末調整2026の工程(10月から2027年1月まで)

この記事が役に立つ人

  • 従業員10人前後の会社で、給与と年末調整を一人で担当している人
  • 外国人の従業員や、国外に家族がいる従業員、年の途中で入社・退職した人がいる会社の担当者
  • 何月に誰へ何を頼めばいいかを、1枚の表で見たい人

この記事は段取りの整理です。税額の計算や、個別の人が控除を受けられるかの判定は、国税庁の資料と顧問の税理士・税務署で確かめてください。

2026年分で、段取りに関係する変更

制度の中身は子記事と国税庁に任せ、ここでは段取りが変わる点だけを挙げます。

変わること段取りへの影響出典
基礎控除の引上げ・給与所得控除の最低保障額の引上げ・扶養親族等の所得要件の改正は、2026-12-01に施行11月までの給与の源泉徴収は変わらない。12月の年末調整で、改正後の控除で1年分を計算し直して精算する国税庁:基礎控除の引上げ等について
改正を反映した年末調整の書類は、12月1日より前に受け取ってもよい例年どおり11月に回収してよい国税庁Q&A 問1-2
改正で新たに扶養の対象になる家族がいる従業員は、扶養控除等申告書を出し直す「異動月日及び事由」欄に「令和8年12月1日 改正」と書いてもらう同Q&A 問2-1
最後の給与を2026-11-30以前に払った人(年の途中で非居住者になった人など)の年末調整には、改正後の控除が使われないその人には、改正後の控除を受けるには確定申告が要ると伝える同Q&A 問1-3・問7-1
23歳未満の扶養親族がいる人の生命保険料控除の特例が、令和8年分から始まった(一般の生命保険料の控除の計算が変わる)保険料控除申告書を確かめるとき、23歳未満の扶養親族がいるかを見る。給与ソフトが新しい計算に対応しているか確かめる年末調整のしかた 表紙・p21
2027年1月以後に払う給与から、令和9年分の源泉徴収税額表を使う1月の給与計算の前に、給与ソフトの更新を確かめる令和8年分 年末調整のしかた
2027年1月から、市区町村に給与支払報告書を出せば、税務署に源泉徴収票を出したものとみなされる税務署に出す用の源泉徴収票を作らなくてよくなるNo.7411(国税庁)
国税システムの更改で、令和8年8月以降、源泉徴収票を含むすべての法定調書の様式が変わった(書面で税務署に出すときは、国税庁のホームページの最新の様式を使う)1月に、ソフトの出力や用紙が新しい様式か確かめる同Q&A 問3-3・法定調書の手引

扶養の所得要件がどう変わったか、迷いやすい判定は 年末調整の扶養の処理で迷う所 にまとめています。

段取り表(10月から1月まで)

期限と書いたもの以外は、この記事の目安です。回収の締め切りは、最後の給与の計算を始める日から逆算して決めます。

時期担当者がやること従業員に頼むこと詳しい記事
10月上旬対象者の名簿を作る(在籍者・途中入社・年内の退職予定・外国人・国外の家族・休職中)。給与ソフトの令和8年分の対応予定を確かめる。紙かクラウドか、回収の方法を決める—下の「誰が特別か」の表
10月中国税庁の「年末調整がよくわかるページ」で、令和8年分の様式・記載例・従業員向けリーフレットを確かめる(国税庁は10月ごろ掲載と案内)【一言①】控除証明書を捨てずにとっておく/家族の今年の収入の見込みを考えておく—
10月中途中入社の人に、前の会社の源泉徴収票を頼む。国外に家族がいる人に、送金の記録を集めてもらう前職の源泉徴収票/送金関係書類国外の家族の書類
11月上旬年末調整の書類と、令和9年分の扶養控除等申告書を配る。回収の締め切りを伝える【一言②】書類を書いて、証明書を付けて出す令和9年分の申告書
11月中旬〜下旬回収し、1人ずつ確かめる(下の「回収のチェック表」)。足りない書類を個別に頼む足りない証明書・書き直し扶養の処理で迷う所
12月上旬回収した内容を給与ソフトに入れる。途中入社の人の前職分を合算する—給与ソフトを年の途中で切り替えたとき
12月(最後の給与)年末調整の計算をして、過不足を精算する(還付・徴収)。12月分で還付しきれない分は、そのあとに納める源泉所得税から順に還付する。不足額で手取りが大きく減る人は、税務署の承認を受けて翌年1月・2月に繰り延べて徴収できる(年末調整のしかた p39〜41)【一言③】給与明細で精算の結果を見てもらうMFで年末調整をする流れ
2027-01-12(火)期限12月分の源泉所得税(年末調整の精算を含む)を納める。納期の特例を受けているなら、7〜12月分をまとめて2027-01-20(水)まで——
1月の給与の前給与ソフトが令和9年分の源泉徴収税額表に更新されたか確かめる。令和9年分の扶養控除等申告書の内容を反映する—1月の給与計算の前に
1月31日まで従業員に源泉徴収票を渡す【一言④】源泉徴収票を受け取って保管する—
2027-02-01(月)期限市区町村へ給与支払報告書(在職者は1月1日の住所、年の途中で辞めた人は退職した日の住所の市区町村ごと)、税務署へ法定調書と合計表——

納付の期限は、国税庁の 令和8年分 年末調整のしかた の表紙、法定調書の期限は 令和8年分 法定調書の作成と提出の手引 で確かめました。源泉徴収票を従業員に渡す期限(翌年1月31日。年の途中で辞めた人は退職から1か月以内)は No.7411 にあります。年の途中で辞めた人の給与支払報告書を、退職した日の住所の市区町村に出すことは、たとえば 大阪市:給与支払報告書の提出について に書かれています。

10月にやる「誰が特別か」の洗い出し

書類の用意に時間がかかる人を配る日まで知らないと、12月に書類が間に合わないことがあります。そのため、10月のうちに、次の表で名簿に印を付けておきます。

こういう人がいたら何が要るか詳しい記事
外国人の従業員まず「居住者」かどうか。年末調整の対象は居住者だけで、国籍では決まらない外国人の従業員の年末調整
国外に住む家族を扶養に入れたい人親族関係書類(扶養控除等申告書を出すとき)と、送金関係書類(年末調整のとき)。外国語なら訳文も国外の家族の書類
年内に退職・帰国する予定の外国人非居住者になる人は、出国のときに年末調整をする。11月30日以前が最後の給与なら、改正後の控除は使われない年の途中で退職・帰国するとき
今年、途中で入社した人前の会社の源泉徴収票。確かめられないと年末調整ができず、本人の確定申告になるNo.2674(国税庁)
家族の収入が今年変わった人・共働きの人扶養に入れられるかの判定。今年は所得の要件が変わっている扶養の処理で迷う所
今年、給与ソフトを乗り換えた会社切り替える前の月までの累計給与ソフトを年の途中で切り替えたとき

国外の家族の書類は、出す時期が2つに分かれています。国税庁の「年末調整のしかた」では、親族関係書類は扶養控除等申告書を出すときに、送金関係書類は年末調整のときに、添付か提示をすることになっています。1年分の送金の記録を12月に一度に集めるのは大変なので、10月の一言で頼んでおきます。

回収のチェック表(1人ずつ)

回収したら、1人1行で印を付けます。10人なら、この表1枚で足ります。

書類誰が出すか確かめること
令和8年分 扶養控除等申告書(年初に出したもの)全員家族の増減がないか。改正で扶養に入る家族がいれば出し直し
基礎控除申告書・配偶者控除等申告書・特定親族特別控除申告書・所得金額調整控除申告書全員(控除を受ける人は該当欄も)本人と家族の所得の見込みが書いてあるか
保険料控除申告書生命保険料・地震保険料などを払った人控除証明書が付いているか。23歳未満の扶養親族がいるか(令和8年分から生命保険料控除の特例がある)
住宅借入金等特別控除申告書住宅ローン控除を受ける人(2年目以降。最初の年は本人の確定申告)税務署から届いた申告書(兼控除証明書)。証明書方式の人は、金融機関の年末残高等証明書も(調書方式なら不要)
前の会社の源泉徴収票途中入社の人前職の支払額・源泉徴収税額・社会保険料
親族関係書類・送金関係書類国外の家族を扶養に入れる人家族ごとにそろっているか。外国語なら訳文
令和9年分 扶養控除等申告書全員2027年最初の給与の前日までに受け取る

書類の名前と順番は、国税庁の「年末調整のしかた」の手順(扶養控除等申告書 → 基礎控除申告書など → 保険料控除申告書 → 住宅借入金等特別控除申告書 → 年税額の計算 → 過不足の精算)に合わせています。令和9年分の扶養控除等申告書の期限(毎年最初に給与を受ける日の前日まで)も、同じ資料にあります。住宅ローン控除の書類(調書方式と証明書方式の違い、最初の年は確定申告)は 年末調整のしかた p29 にあります。

従業員に配る一言の見本

そのままコピーして、社内のチャットやメールで使えます。【】の中を自社に合わせて直してください。

一言① 10月(予告)

今年も年末調整の時期が近づいてきました。書類は【11月◯日ごろ】に配ります。それまでに、次の3つをお願いします。

  1. 保険会社などから届く「控除証明書」を捨てずにとっておいてください
  2. 家族を扶養に入れている人は、その家族の今年の収入の見込みを確かめておいてください(今年は、扶養に入れられる所得の要件が変わっています)
  3. 今年入社した人で、前の会社から給与をもらった人は、前の会社の「源泉徴収票」を【◯日】までに渡してください

一言② 11月(配るとき)

年末調整の書類を配ります。【11月◯日(◯)】までに提出してください。

  • 全員:扶養控除等申告書(今年の分の確認と、来年の分)と、基礎控除申告書など
  • 生命保険料・地震保険料などを払った人:保険料控除申告書と控除証明書
  • 住宅ローン控除を受ける人(2年目以降):税務署から届いた申告書と、金融機関から年末残高等証明書が届いている人はそれも

分からない所は、空欄のままで出して大丈夫です。こちらから聞きます。締め切りに間に合わない書類がある人は、先に一言ください。

「空欄のままで出して大丈夫」を入れるのは、迷った従業員が出すのをやめてしまうのを防ぐためです。書類が止まるより、空欄を後で聞き取る方が、一人担当には手間が少ないためです(目安)。

一言(外国人の従業員へ・やさしい日本語)

11月に「年末調整」の紙をわたします。国の外にいる家族を扶養に入れたい人は、①家族だとわかる書類、②今年お金を送った記録(銀行の送金の記録など)がひつようです。外国語の書類には、日本語の訳もつけてください。年内に国へ帰る予定がある人は、早めにおしえてください。

国税庁は、国外の家族を扶養に入れる人向けのリーフレットを、英語・中国語・ポルトガル語・スペイン語・ベトナム語・フィリピノ語でも出しています(国税庁:非居住者である親族について扶養控除等の適用を受ける方へ)。一言と一緒に、その人の言語の版を渡すと、説明の手間が減ります。

一言③ 12月(精算のあと)

【12月◯日】の給与で、年末調整の精算をしました。給与明細の「年末調整」の欄で、戻った税金(または追加で引いた税金)を確かめてください。源泉徴収票は【1月◯日】までに渡します。

一言④ 1月(源泉徴収票を渡すとき)

2026年分の源泉徴収票を渡します。確定申告をする人や、住宅ローン・保育園などの手続きで使う人は、なくさないように保管してください。

紙で回収しているなら、年末調整だけクラウドにする

10人でも、紙の書類を配って回収し、1枚ずつ給与ソフトに打ち込むと、回収と入力にまとまった時間がかかります(目安)。回収の部分だけをクラウドにする方法があります。

  • マネーフォワード クラウド年末調整:公式サイトでは「他社の給与計算ソフトを使用中でも年末調整業務単体での利用が可能」と案内しています。英語への表示の切り替えにも対応しています(公式サイト)。料金ページ では、ビジネスプラン相当の機能を1か月無料で使えること、無料期間のあと自動で有料に移らないことを案内しています(2026-09-26 確認)
  • 国税庁の年調ソフト:国税庁は「年末調整控除申告書作成用ソフトウェア」を無償で提供しています。従業員が申告書を作るためのソフトです(年末調整がよくわかるページ)

今年から切り替えるなら、11月に配る前に、従業員の登録と案内まで終えておく必要があります。10月中に決めるのが目安です。MFで回す場合の画面の流れは マネーフォワード クラウドで年末調整をする流れ と、公式の 年末調整の流れ(管理者用) にあります。

つまずきやすい所

  • 回収の締め切りを、最後の給与の計算に近づけすぎる — 足りない書類を頼み直す時間がなくなります。締め切りのあとに、少なくとも1週間は確かめる時間を取ります(目安)
  • 国外の家族の送金記録を、12月に初めて頼む — 1年分の記録を集めるのに時間がかかります。10月の一言で頼んでおきます
  • 年内に帰国する外国人を、12月の年末調整の名簿に入れたままにする — 出国する人は、出国のときに年末調整をします。11月30日以前が最後の給与なら、改正後の控除は使われず、改正後の控除を受けるには本人の確定申告が要ります(国税庁Q&A 問1-3・問7-1)
  • 令和9年分の扶養控除等申告書を配り忘れる — 年末調整の書類と一緒に配ると漏れません。2027年最初の給与の前日までに受け取ります
  • 1月の期限日を例年の日付で覚えている — 2027年は1月10日が日曜、11日が祝日のため、源泉所得税の納付は1月12日(火)。1月31日も日曜のため、法定調書の提出は2月1日(月)です(国税庁の資料の日付)
  • 扶養の判定で迷ったまま計算に進む — 迷った家族は、計算の前に顧問の税理士か税務署に確かめます。判定の考え方は 扶養の処理で迷う所 にあります

時期ごとに読む記事

一次情報

まとめ

  • 10月に「誰が特別か」を名簿で拾う(外国人・国外の家族・途中入社・年内の退職)
  • 11月に配って回収。令和9年分の扶養控除等申告書も一緒に配る
  • 12月の最後の給与で、改正後の控除で精算する(施行は2026-12-01)
  • 1月は、納付が1月12日(火)、源泉徴収票の交付が1月31日、法定調書と給与支払報告書が2月1日(月)

更新の記録

  • 2026-09-26:再監査で直した。法定調書の様式の変更から、出典にない「合計表を含む」を外し、書面で出すときの注意を足した。12月に精算しきれない分の扱い(還付の繰越しと、不足額の繰延べは承認が要ること)を正確にした(本文と工程図)
  • 2026-09-26:監査の指摘で直した。住宅ローン控除の書類(調書方式・証明書方式)、納期の特例の対象(7〜12月分)、退職者の給与支払報告書の提出先を訂正。23歳未満の扶養親族がいる人の生命保険料控除の特例と、法定調書の様式の変更を追加。工程図を追加
  • 2026-09-25:作成。日付は国税庁の「令和8年分 年末調整のしかた」「令和8年分 法定調書の作成と提出の手引」、改正の適用時期は「令和8年度税制改正(基礎控除の引上げ等関係)Q&A」で確かめた