人事労務の職務経歴書の書き方と例文:社会保険の手続きを一人で担当してきた人向け
運営者は、従業員10人規模の会社で経理・人事労務を一人で担当してきましたが、管理部門の転職の経験はありません。この記事は、転職サイトの書き方の解説と、日本年金機構・厚生労働省などの公的な情報をもとに、三人称でまとめています。
結論
社会保険の手続きの経験は「担当した手続き・規模と頻度・仕組みにしたこと」の3つに分けて書くと、一人で担当してきた範囲が伝わる。
- どの手続きを担当したか — 社会保険(健康保険・厚生年金保険)、労働保険(雇用保険・労災保険)、給与と税、を分けて並べる
- どのくらいの規模と頻度で回したか — 従業員の人数、年間の入社・退職の件数、毎月・毎年の手続き
- どう仕組みにしたか — 期限の管理、ツールの導入、社労士との分担
大手の転職サイトの見本は、数百人規模の会社の人事部を前提にしたものが多く、「一人で全部を担当した」人にはそのまま使えません。この記事の後半に、10人規模で一人で担当した人向けの、穴埋めの例文を載せています。
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この記事が役に立つ人
- 小さな会社で、人事労務(社会保険の手続き・給与計算)を一人で、または経理と兼ねて担当してきた人
- 大手の見本にある、対象◯◯名のような大きな人数の書き方が当てはまらず、迷っている人
- 「少人数の会社の経験は浅いと見られないか」が気になっている人
上位の記事との違い
「人事労務 職務経歴書」で上位に出る転職サイトの記事は、テンプレートと例文がそろっています。ただ、例文の多くは、数百人の社員の給与計算や、複数の事業所の勤怠管理のような、人事部の中の一人としての経験です。
この記事は、従業員10人前後の会社で、手続きの最初から最後まで一人で担当した人に絞っています。人数の数字が小さい代わりに、何を書けば「一人で回せる範囲」が伝わるかを中心にまとめます。
① 担当した手続きを、種類ごとに並べる
まず、担当した手続きを書き出します。社会保険・労働保険・給与と税は、制度も届け先も違うので、分けて並べると、分かっている人だと伝わります。
| 種類 | 手続き | 届け出の期限の目安 | 出典 |
|---|---|---|---|
| 社会保険(入社・退職) | 健康保険・厚生年金保険の資格取得届・資格喪失届 | 事実発生から5日以内 | 日本年金機構(取得)/(喪失) |
| 社会保険(毎年) | 算定基礎届(定時決定) | 毎年7月10日まで(10日が土曜・日曜なら翌営業日) | 日本年金機構 |
| 社会保険(そのつど) | 月額変更届(随時改定) | 速やかに | 日本年金機構 |
| 社会保険(そのつど) | 賞与支払届 | 賞与支払日から5日以内 | 日本年金機構 |
| 社会保険(そのつど) | 被扶養者(異動)届 | 認定は事実発生から5日以内 | 日本年金機構 |
| 労働保険(入社・退職) | 雇用保険の資格取得届・資格喪失届 | 取得は翌月10日まで/喪失は翌日から起算して10日以内 | 厚生労働省 |
| 労働保険(毎年) | 労働保険の年度更新 | 原則として例年6月1日から7月10日まで | 厚生労働省 |
| 給与と税 | 毎月の給与計算、社会保険料・住民税の控除、源泉所得税の納付 | — | — |
| 給与と税(毎年) | 年末調整 | — | 国税庁 |
- 年末調整は税(所得税)の手続きで、社会保険の手続きではありません。職務経歴書でも「社会保険」の見出しには入れず、「給与計算・年末調整」として別の行に書きます
- 期限は、書類に書くためではなく、「期限のある手続きを、一人で落とさずに回していた」と説明するときの材料として使えます
- 出産・育児休業、労災の手続きなど、件数が少なくても一度でも担当したものは、書き出しておきます。面接で聞かれたときに答えられる範囲だけを書きます
- 電子申請(e-Gov など)で出していたなら、それも書きます
② 規模と頻度を書く:数字が小さくても書く
大手の見本は「対象◯◯名」から書き始めます。10人規模でも同じで、数字を伏せるより、小さい数字をそのまま書いて、担当した範囲の広さで補うほうが伝わります。
| 書く数字 | 書き方の例 |
|---|---|
| 対象の人数 | 従業員_名(正社員_名・パート_名)の社会保険・給与を担当 |
| 年間の件数 | 入社・退職の手続き 年_件前後 |
| 毎月の作業 | 給与計算 毎月_名分、締めから支払いまで_日 |
| 毎年の作業 | 算定基礎届・年度更新・年末調整を_年連続で担当 |
| 期間 | 人事労務の担当 _年_か月(うち一人で担当 _年) |
| 変化 | 毎月の作業時間を約_時間から約_時間に、手作業の転記をなくした、など |
- 正確な値が分からないときは「約」「前後」を付けた概数で構いません。自分の実績として確かめられる数字だけを書きます
- 会社の売上・給与の総額・個人の給与額は書きません
③ 仕組みにしたことを書く
一人担当の経験で、差が出やすいのはここです。人事部の中の一人は、決まった手順を回す立場のことが多い一方で、一人担当は手順そのものを作る立場になりやすいからです。
- 期限の管理:年間の手続きの期限を一覧にして、毎月の確認の流れを作った
- ツールの導入・移行:クラウドの労務・給与のソフトを入れた、データを移した、会計ソフトと連携した
- 従業員への案内:入社のときに集める書類の一覧、扶養の変更を届け出てもらう手順を作った
- 専門家との分担:顧問の社労士に何を頼み、何を自分で出すかを決めた。判断に迷うものを確かめる流れを作った
- 法改正への対応:保険料率の変更、新しい控除の開始などを、給与の設定に反映した
期限の一覧や手順書の作り方は 業務フローのルール化 に、ツールの導入経験の書き方は 一人経理の経験を、転職で伝えるときの整理のしかた にまとめています。
例文:10人規模で一人で担当した人向け(穴埋め)
下線の所を自分の数字と言葉に置き換えて使います。自分が実際にやったことだけを残し、当てはまらない行は消してください。
職務要約
従業員_名の__業の会社で、人事労務と経理を一人で担当しました(_年_月〜_年_月)。社会保険・労働保険の手続き、毎月の給与計算、年末調整を、顧問の社労士・税理士と分担しながら、入社から退職まで一通り担当しています。クラウドの労務・給与ソフトの導入と、期限の一覧による手続きの管理を進め、担当が一人でも期限を落とさない流れを作りました。
職務内容
社会保険・労働保険の手続き(従業員_名)
- 健康保険・厚生年金保険、雇用保険の資格取得・喪失の手続き(年_件前後)
- 算定基礎届、労働保険の年度更新(_年連続)
- 月額変更届、賞与支払届、被扶養者の異動の届け出
- __(電子申請/社労士への書類の準備 など、実際の分担を書く)
給与計算・年末調整
- 毎月の給与計算(_名分)、社会保険料・住民税の控除
- 年末調整(_名分)。扶養控除等申告書の回収と確認
仕組みづくり
- __(ソフトの名前)を導入し、__(紙・Excel)での管理から移行
- 年間の手続きの期限を一覧にし、毎月の確認の手順を作成
- 給与の仕訳を会計ソフトに連携し、手作業の転記をなくした(__の場合)
自己PR
一人担当のため、手続きの期限と中身の確認を、すべて自分で管理してきました。判断に迷うものは顧問の社労士に確かめ、その結果を記録に残して、次に同じ手続きが来たときに迷わないようにしています。貴社では、__(応募先の求人に書かれている業務)の経験を生かし、手続きを正確に回すことに加えて、担当が替わっても止まらない流れを作ることにも取り組みたいと考えています。
今年ならではの例:制度の変更に対応した経験
この1〜2年は、給与と社会保険に関わる制度の変更が続いています。対応したことがあれば、「仕組みにしたこと」の一行として書けます。経験していないものは書きません。
| 制度の変更 | 担当者がした対応の例 | 出典 |
|---|---|---|
| 子ども・子育て支援金の徴収が始まった(会社員などは、令和8年4月分の保険料から) | 給与ソフトの設定の確認、給与明細の表示の確認、従業員への案内 | こども家庭庁 |
| 育児・介護休業法の改正(令和6年改正。2025年4月・10月に順に施行) | 就業規則・社内の案内の見直しを社労士と進めた、対象の従業員への周知 | 厚生労働省 |
| 健康保険の被扶養者の認定で、労働条件通知書など労働契約の内容が分かる書類の賃金から、年間収入を見込む取扱いが始まった(令和8年4月1日から) | 扶養に入れる家族がいる従業員への、出してもらう書類の案内の見直し | 厚生労働省(通知) |
例文にするなら、次のような形です。
2026年4月分の保険料から始まった子ども・子育て支援金について、給与ソフトの設定と給与明細の表示を確かめ、従業員へ案内を出しました。
制度の中身そのものを職務経歴書で説明する必要はありません。「変更に気づき、設定に反映し、従業員に伝えた」という流れが書ければ十分です。
「少人数の経験」を気にされたときの答え方
面接では、小さな会社の経験について、次のような点を聞かれることがあります。答えは、経歴書の中に先に書いておくと、話が早くなります。
| 聞かれやすいこと | 答え方の材料 |
|---|---|
| 人数が少なく、件数の経験が足りないのでは | 件数は少なくても、入社から退職まですべての種類の手続きを一人で担当したこと。①の表のうち、担当した行の数 |
| 自己流になっていないか | 顧問の社労士・税理士に確かめる流れを作っていたこと。期限の一覧・手順書を残していたこと |
| 大きな会社の分業に合うか | 手続きの前後(従業員への案内・給与への反映・会計への連携)まで分かっているので、担当の範囲が決まっても前後の人とつなぎやすいこと |
| システムの経験は | 使ったソフトの名前と、導入・移行・連携のどこまでを自分で進めたか |
書くときの注意
- マイナンバーや個人の情報に関わる経験は、扱い方を書き、中身は書かない(例:「マイナンバーを労務ソフトで管理し、閲覧できる人を限定した」まで)
- 前の会社が分かる固有の情報(取引先・社内のシステム名・金額)は書かない
- 社労士が出した手続きを、自分が出したように書かない。「社労士に依頼する書類の準備」「提出前の確認」など、実際の分担で書く
- 使ったソフトは、実際に操作したものだけを書く
つまずきやすい所
- 社会保険と年末調整を同じ見出しに入れる — 年末調整は税の手続き。「給与計算・年末調整」として分けます
- 人数が少ないので数字を書かない — 書かないと規模が伝わりません。小さい数字のまま書き、担当した範囲の広さで補います
- 手続きの名前を並べるだけで終わる — 一人担当の強みは「仕組みにしたこと」。③を最低1つは書きます
- 経理と人事労務を混ぜて1段落にする — 見出しを分けて、それぞれの範囲を書きます。応募先が人事労務の求人なら、人事労務を先に置きます
- 法改正を「知っている」とだけ書く — 書くのは、自分がした対応(設定の確認・従業員への案内)です
まとめ
- 社会保険の手続きの経験は、担当した手続き・規模と頻度・仕組みにしたことの3つで書く
- 社会保険・労働保険・給与と税は、分けて並べる。年末調整は税の手続き
- 10人規模でも数字は書く。すべての種類を一人で担当したことを、範囲の広さで見せる
- 今年なら、子ども・子育て支援金への対応のような制度の変更も、実際に対応していれば一行にできる
次に読む:
- 一人経理の経験を、転職で伝えるときの整理のしかた — 経理の経験・ツールの導入経験の書き方
- 管理部門に特化した転職エージェントの比較 — 書類ができたら、相談先を選ぶ
- 一人経理が休めない・辞めたいときに、辞める前に整理する3つのこと — 辞めるか決める前の整理