一人経理の月次の締め:5つの手順と締めの日の決め方(チェック表つき)
結論
月次の締めは、①明細と書類をそろえる → ②自動で入った仕訳を見る → ③残りを入れる → ④残高を合わせる → ⑤数字を見る の順に回し、人に頼む所(領収書・請求書・承認)を月末より前に寄せます。
- 一人担当は、途中で人に頼む所が止まりやすいので、頼む所を月末の前に寄せるのがこつです
- 締めの日は「何営業日で終える」から決めるより、社長に数字を見せる日と、翌月10日の納付(源泉所得税・住民税)から逆算して決めると、一人でも崩れにくくなります
- 会計ソフトを口座・給与・経費とつなぐと入力は減りますが、自動で入った仕訳を確かめる作業は残ります。見る所は、下の「自動で入った仕訳のどこを見るか」の6つに絞れます
私は、従業員10人規模の会社で経理・労務を一人で担当し、会計・給与・勤怠・労務・経費を最終的にすべてマネーフォワード クラウドでそろえていました。給与・勤怠・経費から会計へ仕訳が入るように連携もしていました。時間がかかっていた作業は 経理・管理会計・仕訳 で、自動化していちばん楽になったのも 仕訳 です。
画面の名前と機能は、マネーフォワード クラウド会計の公式サポートで、納付の期限は国税庁・日本年金機構・東京都主税局の公式ページで 2026-09-25に確認 したものです。締めの日程と、自動の仕訳で見る所は、一般的な例として書いています。会社の処理の方針(どこまで月次で見越して計上するか・税区分)は、顧問の税理士と決めてください。
この記事が役に立つ人
- 従業員10人前後の会社で、経理(と給与・労務)を一人で担当している人
- 毎月の締めが、日によって終わったり終わらなかったりする人
- 会計ソフトを銀行・カード・給与・経費とつないだが、締めに何を確かめればよいか決まっていない人
上位の解説と、この記事の違い
「月次決算」で上位に出る解説の多くは、会計ソフトの会社のものです。流れ(現金・預金の確認 → 仮勘定の整理 → 経過勘定 → 試算表 → 報告)はどれもほぼ同じで、各部署から書類を集め、経理部が締め、会議で報告する 形を前提にしています。
一人担当の場合、違うのは次の3つです。
| 上位の解説の前提 | 一人担当の実際 | |
|---|---|---|
| 書類を集める | 各部署に期限を守ってもらう | 集める相手は社長と数人の従業員。頼む・待つ・催促するのも自分 |
| 給与 | 給与の担当は別にいる | 給与計算も自分。月初に給与と締めと納付が重なる |
| 確認 | ダブルチェックの体制を作る | 確かめる人がいない。見る所を決めておくのが、ダブルチェックの代わり |
この記事は、この3つを前提に、手順とチェック表を組み立てています。
何日目に何をするか:月次の締めのチェック表
月末締め・翌月第5営業日に締めを終える場合の例です。給与の締め日・支払日や、社長に報告する日に合わせて、日を動かして使ってください。
| いつ | やること | 誰に頼むか | 終わった印 |
|---|---|---|---|
| 月末の3営業日前 | 経費の申請と領収書の提出、請求書の受け取りの期限を知らせる | 従業員・社長 | 知らせた |
| 月末の3営業日前 | 今月の売上の請求書を出す(まだの分) | — | 請求の一覧と一致 |
| 月末 | 銀行・カードの連携が止まっていないかを見る | — | 最終取得日が今日か昨日 |
| 翌月1営業日 | 経費の申請の承認が止まっていないかを見る。止まっていれば催促する | 承認する人(社長など) | 未承認が0件 |
| 翌月1営業日 | 届いていない請求書を問い合わせる | 取引先・社長 | 届く予定の日が分かった |
| 翌月1〜2営業日 | 手順② 自動で入った仕訳を見る | — | 未登録の明細が0件 |
| 翌月2営業日 | 手順③ 紙の請求書・現金など、つながっていない所を入れる | — | 手元の書類がなくなった |
| 翌月2〜3営業日 | 迷った仕訳を一覧にして、まとめて聞く | 顧問の税理士 | 一覧を送った |
| 翌月3〜4営業日 | 手順④ 残高を合わせる | — | 下の残高の表が全部一致 |
| 翌月4〜5営業日 | 手順⑤ 前の月・前の年の同じ月と比べる。動いた理由をメモする | — | 理由が全部書けた |
| 翌月5営業日 | 試算表と、動いた理由のメモを社長に渡す | 社長 | 渡した |
| 翌月10日 | 源泉所得税・住民税(特別徴収)の納付 | — | 納付した(下の「月初に重なるもの」) |
| 翌月末日 | 社会保険料の納付(前月分) | — | 引き落としの額が、預り金(本人負担分)と会社負担分の合計と合う |
一人担当は、上の表の「誰に頼むか」の列が止まると、締め全体が止まります。頼む行を月末より前に置くのは、そのためです。
手順① 明細と書類をそろえる
締めの材料は、自動で入ってくるもの と 人からもらうもの の2つに分かれます。
| 種類 | 例 | 確かめること |
|---|---|---|
| 自動で入ってくるもの | 銀行の入出金、法人カードの利用、給与の仕訳、経費精算の仕訳 | 連携が止まっていないか、給与・経費の側で確定したか |
| 人からもらうもの | 紙の請求書・領収書、経費の申請、社長のカード利用の中身、取引先からの請求書 | 月末までにもらえたか、もらえていないものは何か |
- 銀行・カードの連携 は、止まっていても気づきにくい所です。マネーフォワード クラウド会計なら「連携サービスから入力」画面に明細が入ってきます。連携のエラーが出ているときは → 口座・カード連携が止まったときの確認箇所
- 給与の仕訳 は、給与の側で確定しないと会計に入りません。マネーフォワード クラウド給与の場合、給与で「確定処理」をすると、会計の「給与から入力」画面に仕訳の候補ができます(クラウド会計連携の使い方)
- 経費精算の仕訳 は、マネーフォワード クラウド経費で仕訳の作成タイミングを「最終承認されたタイミング」にしている場合、承認が止まっていると会計に入りません(「仕訳」の設定方法)。経費から会計へつなぐ場合、勘定科目・補助科目は名前が一致している必要があります(会計との連携設定(経費))
- メールやWebで受け取った請求書・領収書 は、電子取引のデータとして、紙に印刷するだけでなく電子のまま保存するのが原則です(国税庁:電子帳簿保存)。締めのついでに、決めた保存場所に入っているかを見ておきます
遅れて届く請求書をどう扱うか、先に決める
一人担当が締めを早くしようとすると、遅れて届く請求書を翌月の分として入れてしまう ことがあります。締めは早く終わりますが、その月の費用が少なく見えます。
どちらにするかは会社の方針なので、顧問の税理士と相談して、次のどちらかを決めて書いておきます。
- 締めの日までに届かないものは、金額が分かっていれば、その月の費用(未払い)として入れる
- 金額の小さいものに限って、届いた月に入れる と決める
決めずに毎月その場で迷うと、月によって数字の出し方が変わり、前の月と比べる意味がなくなります。
手順② 自動で入った仕訳を見る
マネーフォワード クラウド会計の「連携サービスから入力」画面では、銀行・カードの明細から、自動で作られた仕訳の候補を登録します(「連携サービスから入力」画面の使い方)。自動仕訳ルールが当たっている明細には学士帽のアイコンが出て、押すとどのルールが当たったかを見られます。2026年9月15日のお知らせで、「仕訳帳」画面でも同じアイコンが出るようになったと案内されています(仕訳帳は2026年6月16日19時13分以降に登録された仕訳が対象。お知らせ)。
一件ずつ全部を見ると、自動にした意味がなくなります。見る所を決めて、そこだけ見ます。
自動で入った仕訳のどこを見るか(例)
以下は一般的な例です。科目の立て方や処理の方法は会社ごとに違うので、自分の会社の形に置き換えてください。
| 見る所 | 何が起きやすいか | 確かめ方 |
|---|---|---|
| 1. 初めての取引先 | 自動仕訳ルールの条件(部分一致など)が広く、関係のない取引に同じ科目が付く | 学士帽のアイコンから、当たったルールを見る。広すぎるルールは直す → 自動仕訳ルールの作り方 |
| 2. 金額の大きい取引 | 資産に入れるべき買い物が、費用で入っている | 金額で並べ替えて上から見る。資産にするかは税理士に聞く |
| 3. 法人カードの利用と、経費精算 | 同じ支払いが、カードの明細と経費の申請の両方から入る(二重) | 「仕訳帳」画面の重複チェックを使う(入力された仕訳を確認する)。カードで払ったものは経費で申請しない、と従業員に伝えておく |
| 4. カードの引き落とし | 利用のときに費用で入れたのに、引き落としのときにも費用で入る | 引き落としの仕訳が、未払金を減らす仕訳になっているか |
| 5. 給与の仕訳 | 給与の側で設定した科目と、会計の科目がずれている | 給与から入った仕訳の預り金(源泉所得税・住民税・社会保険料)が、手順④の残高合わせで合うか |
| 6. 売上の入金 | 振込手数料を引かれて入金され、売掛金が少しだけ残る | 売掛金の残りが、手数料の額と一致するか |
税区分は、自動で付いたまま信じない
自動仕訳ルールや連携で付いた税区分は、ルールを作ったときの設定のままです。迷った税区分は自分で決めずに印をつけ、手順③の「迷った仕訳の一覧」に入れて税理士に聞きます。
手順③ 残りを入れる
自動で入らないものを入れます。
- 紙の請求書・領収書
- 現金での支払い
- 手順①で決めた「遅れて届く請求書」の扱い(その月の費用として入れる場合)
- 毎月決まった額を入れるもの(家賃・リース料・保険料など、口座振替でない場合)
手入力が毎月多いなら、締めの前に入力そのものを減らす方が早いです → 仕訳の手入力を減らす順番/明細のCSVから会計ソフトに取り込む方法
迷った仕訳の一覧
迷ったものは、その場で決めずに一覧に入れ、月に1回まとめて 顧問の税理士に聞きます。一覧には、次の4つがあれば足ります。
| 日付 | 取引先・内容 | 金額 | 迷っている所 |
|---|---|---|---|
| 例:9/12 | 例:◯◯(ソフトの年払い) | 例:◯◯円 | 例:前払費用にして月ごとに分けるか、払った月の費用か |
答えをもらったら、同じ取引が次に来たときの決まり として、手順書に書き足しておきます。同じことを毎月聞かずに済みます。
手順④ 残高を合わせる
残高試算表の数字を、会社の外にある数字と突き合わせます。
| 科目 | 突き合わせる相手 | 合わないときに多い原因 |
|---|---|---|
| 現金 | 手元の現金を数えた額 | 入れ忘れた支払い |
| 普通預金 | 通帳・ネットバンキングの月末の残高(口座ごと) | 連携が止まっていた日の明細、登録していない明細 |
| 売掛金 | 請求の一覧から、入金済みを除いたもの | 振込手数料、入金の消し込み漏れ |
| 買掛金・未払金 | 支払いの予定の一覧、カードの請求額 | カードの引き落としを費用で入れた(手順②の4) |
| 預り金 | 次の納付日に納める源泉所得税・住民税の額(納期の特例を使っているなら、まとめて納める日までにたまった額)と、社会保険料の本人負担分 | 給与の科目のずれ(手順②の5)。社会保険料の会社負担分をどの科目に置くかは、税理士の方針に合わせる |
| 借入金 | 金融機関の返済予定表の残高(借入ごと) | 利息と元本を分けていない |
| 仮払金・仮受金 | 0になっているか | 中身の分からない入出金を仮に置いたまま |
私はマネーフォワードで補助科目を細かく使っていました(ツールごと、借入ごと)。借入を補助科目で分けておくと、返済予定表と 1本ずつ 突き合わせられます。残高は「推移表」画面で補助科目を開いて見られます(「推移表」画面の使い方)。
手順⑤ 数字を見る
最後に、前の月 と 前の年の同じ月 と比べて、大きく動いた科目がないかを見ます。マネーフォワード クラウド会計なら、月ごとの金額は「推移表」画面、前期との比較は「前期比較」画面で見られます(「前期比較」画面の使い方)。
- 動いた科目ごとに、理由を一言 メモします(例:「広告宣伝費 +◯円:展示会の出展」)
- 理由が書けない科目は、手順②〜④のどこかで入れ間違えていることが多いので、戻って見ます
- 社長には、試算表と一緒に このメモを渡す と、数字の質問が先に片づきます
管理会計(部門別・案件別の数字)まで月次で出す場合は、この後に続けます。一人担当は、まず上の5つの手順が毎月同じ日に終わるようになってから足す方が、崩れにくくなります。
締めの日の決め方
上位の解説では、締め日から 5営業日 ほど(OBC)、月初5〜10営業日(マネーフォワード クラウド)で終えるのが目安とされています。一人担当は、日数より先に、次の3つから逆算します。
- 社長に数字を見せる日(役員会・金融機関への報告があるならその日)
- 翌月10日の納付(源泉所得税・住民税の特別徴収)。締めの最終日と重ねない
- 給与の支払日。月初〜10日ごろに給与の支払いがある会社は、給与計算と締めが重なるので、締めの日を少し後ろにずらす
決めたら、経費の申請・領収書・請求書の提出の期限(例:月末、遅くても翌月1営業日) と一緒に、社内に知らせます。上位の解説でも、締め日とスケジュールを社内に知らせることが、遅れを防ぐ方法として挙げられています。
月初に重なるもの(一人担当は給与と一緒に来る)
| 何を | いつまでに | 10人規模で知っておくこと | 出典 |
|---|---|---|---|
| 源泉所得税 | 給与を払った月の翌月10日 | 給与の支払いを受ける人が 常時10人未満 なら、申請して承認を受けると、1〜6月分を7月10日、7〜12月分を翌年1月20日にまとめて納められる(納期の特例) | 国税庁 No.2505 |
| 住民税(特別徴収) | 給与から引いた月の翌月10日 | 従業員が 常時10人未満 なら、区市町村に申請して承認を受けると年2回にまとめられる。給与から毎月引くのは変わらない | 東京都主税局 |
| 健康保険・厚生年金保険料 | 納付の対象の月の翌月末日(休日なら翌営業日) | 毎月20日ごろに年金事務所から告知書が届く。当月の給与から引けるのは前月分 | 日本年金機構:納付期限/厚生年金保険料等の納付 |
10人規模の会社は、人数が10人を少し超えたり下回ったりする所にいます。納期の特例を使っているかどうかで、毎月10日の作業があるかないかが変わるので、自分の会社がどちらかを、チェック表に書いておきます。
一人で回すこつ
- この順番を、業務フローとして書いておく。私が一人で回して「先にやっておけばよかった」と思ったのは、業務フローのルール化でした → 業務フローのルール化
- チェック表の「終わった印」を毎月つける。確かめる人がいない一人担当には、これが確認の記録になります。休むときの引き継ぎにもそのまま使えます
- 迷ったものは決めずに、一覧にして税理士へ。月に1回まとめて聞くと、相手の手間も減ります → 相談先の分け方
- 締めの日を先に決めて、社内に知らせる。頼む相手の期限が決まっていないと、催促もできません
まだ手で入力して締めているなら
チェック表の手順②は、銀行・カード・給与・経費が会計ソフトにつながっている前提です。まだ手で入力しているなら、締めの時間の多くは入力そのものに使われがちです。
- 会計・給与・勤怠・経費を1つのシリーズにそろえた構成と、10人で年いくらかは → 一人経理でマネーフォワード クラウドにそろえる
- freee会計とマネーフォワード クラウド会計のどちらにするか迷っているなら → freee会計とマネーフォワード、10人の会社の一人経理で比べる
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つまずきやすい所
- 連携が止まっていたのに気づかず、残高が合わない — 月末に最終取得日を見る行を、チェック表に入れておきます
- カードの利用と経費の申請で二重に入る — 仕訳帳の重複チェックと、従業員への一言で防ぎます
- 遅れて届く請求書の扱いが月によって違う — 手順①で決めて、書いておきます
- 締めの最終日が、給与や10日の納付と重なる — 締めの日を決めるときに、納付の日を先に書き込みます
- 迷った仕訳をその場で決めてしまう — 税区分と資産にするかどうかは、特に税理士に聞きます
まとめ
- 月次の締めは、明細と書類 → 自動の仕訳 → 残り → 残高 → 数字 の順
- 一人担当は、人に頼む所を月末より前に寄せる
- 自動で入った仕訳は、初めての取引先・大きい金額・二重・引き落とし・給与・入金の6つ を見る
- 締めの日は、社長に見せる日と、翌月10日の納付から逆算 して決める
- 迷うものは、決めずに一覧にして税理士へ
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