会計・経費

会計ソフトの部門・タグで管理会計:10人の会社でCSVから作る3つの表【マネーフォワード・freee】

結論

事業は部門(freeeは部門タグ)、支払い先・ツールは補助科目(freeeは品目タグ)で仕訳を入れる時点から分けておき、CSVから月次推移・部門別の損益・固定費の一覧の3つの表を作ります。

  • 管理会計の表は、仕訳を入れる時点の分け方 で決まります。あとから分け直すと、過去の仕訳を直す手間がかかります
  • 10人規模なら、作る表は ①月次推移 ②部門別の損益 ③固定費の一覧 の3つで足ります。どれも、会計ソフトの推移表・部門別の集計・仕訳帳を CSVで書き出して 作れます
  • 先にプランの上限を確かめます。マネーフォワード クラウド会計は、スモールビジネスプラン以下だと親部門2つまで・子部門なし(ビジネスプランは無制限)。freee会計は、スタータープランだと部門は1階層(子部門なし)、部門比較のCSVは一度に5部門まで、費用の配賦は使えません(配賦はスタンダードプラン以上)

この記事が役に立つ人

  • 従業員10人前後の会社で、経理を一人で担当していて、社長に出す月次の資料も作っている人
  • マネーフォワード クラウド会計かfreee会計を使っていて、「事業ごとの利益を出して」と言われたが、部門をまだ作っていない人

「管理会計とは」「損益分岐点の出し方」のような考え方は、中小企業基盤整備機構や会計事務所の解説が詳しいので、この記事では扱いません。扱うのは、会計ソフトの設定と、CSVから表にするまでの作業 です。

私が分けていた単位

私は、経理の中でも 仕訳と管理会計 に時間がかかっていました。分け方は、使っていた会計ソフトごとに次のようにしていました。

  • freee会計:独自の勘定科目を作っていました(車両費からガソリン代を分ける、通信費を細かく分ける)。タグは主に 品目 を使っていました
  • マネーフォワード クラウド会計:補助科目 を細かく使っていました(使っているツールごと、借入ごと)。作り方は 補助科目の作り方 にまとめています
  • freee人事労務:書き出しは用途で使い分けていて、社労士への共有はPDF、管理会計に使うのはCSV でした
  • 弥生からfreeeへ期首に切り替えたときは、部門は使っていませんでした

部門・配賦・セグメントの設定は、この記事では公式ヘルプをもとにまとめています。

全体の流れ

会計ソフトの数字を管理会計の3つの表にする流れ
会計ソフトの数字を管理会計の3つの表にする流れ

① 何で分けるかを決める:部門・補助科目・タグの使い分け

見たい切り口ごとに、どの機能で分けるかを先に決めます。

見たいことマネーフォワード クラウド会計freee会計10人規模の目安
事業・店舗ごとの損益部門部門タグ事業の数だけ(2〜3個)。共通の費用の置き場も決める
支払い先・ツールごとの内訳補助科目品目タグ(決算書でも分けて見たいなら独自の科目)毎月出ていく支払いだけ細かく
案件・担当者・「要確認」の目印タグ(仕訳帳のCSVに「タグ」の列がある)メモタグ(1行に複数付けられる。集計ではなく絞り込み用)必要になってから
部門・品目とは別の軸(地域・販路など)—セグメント(アドバンスプラン以上。3種類まで)10人規模ではまず要らない

freeeは、補助科目の代わりに「取引先」「品目」「部門」「メモタグ」のタグを使う作りです。1つの取引に複数のタグを付けられるので、部門ごとの売上の中を品目別に見る、といったクロス集計ができます(2.3 「タグ」とは)。マネーフォワードの補助科目は、勘定科目の下に置く内訳です。マネーフォワードの補助科目とfreeeの品目タグは、1対1には対応しません。ソフトを移るときの考え方は freee会計とマネーフォワードの比較 に書いています。

プランごとの上限(2026-09-25確認)

部門の数・階層部門別の表示・書き出し
マネーフォワード:無償利用・ひとり法人・スモールビジネス親部門2部門まで、子部門は作れない部門別集計表・推移表で部門別に見られる。無償利用の状態では仕訳帳のCSV出力は使えない
マネーフォワード:ビジネス無制限同上
freee:ひとり法人—画面は2部門まで、CSVも一度に2部門まで
freee:スターター1階層(子部門なし)画面は5部門まで、CSVは一度に5部門まで(5部門ずつ書き出して加工すれば全部門を比べられる)
freee:スタンダード2階層(親部門・子部門)画面は5部門まで、CSVは全部門を比べられる
freee:アドバンス以上最大5階層画面は5部門まで、CSVは全部門を比べられる
  • freeeで階層を作れるプラン(スタンダード・アドバンス以上)では、1つの親部門に設定できる子部門は100までです
  • freeeの 費用の配賦(共通の費用を部門に割り当てる機能)は、法人ならスタンダード・アドバンス・エンタープライズプラン(旧プランはプロフェッショナル・エンタープライズ、個人はプレミアム)で使えます。スタータープランでは使えません

出典:マネーフォワード「部門」の設定方法/プランごとに利用できる機能を教えてください/「仕訳帳」画面の使い方/freee会計で部門別会計を行う/費用の配賦(部門への割り当て)を行う

10人規模で給与か勤怠をマネーフォワードで回しているなら、人数の上限でプランはビジネスが前提になるので、部門の数は気にしなくて済みます(マネーフォワード クラウドを10人の会社で使うと年いくらか)。会計と請求書だけをスモールビジネスで使っている場合は、部門が2つまで なので、事業2つを部門にして、共通の費用は部門を付けずに置く、といった割り当てを先に決めます。部門を付けなかった仕訳が部門別集計表でどう表示されるかは、画面で確かめてください。

② 会計ソフトで設定する

マネーフォワード クラウド会計

  1. 部門を作る:「各種設定」→「部門」→「部門の設定」画面で「+部門を追加」を押し、「部門」と「検索キー」を入れて「登録」。子部門は「子部門を追加」から(ビジネスプラン)
  2. 補助科目を作る:「各種設定」→「勘定科目」画面で、勘定科目の下に追加します(「勘定科目」や「補助科目」の追加はできますか?)
  3. 共通の費用を分けるなら:「配賦基準の設定」画面で、各部門に共通費を配賦する基準を決められます(「部門」の設定方法)

公式ヘルプには、次の2つの注意があります。

  • 部門を設定しても、部門ごとの決算書は作れません。部門ごとの残高は「残高試算表」「部門別集計表」の画面で見ます
  • 部門別の管理は、損益計算書の科目 で使うことを想定しています

freee会計

  1. 部門タグを作る:部門を登録し、事業が階層になっているなら親部門を設定します(スタンダードプラン以上)
  2. 入力漏れを防ぐ:法人のスタンダードプラン以上なら、取引を登録するときに部門の入力を必須にできます
  3. 給与の仕訳に部門を付ける(法人はスタンダードプラン以上):freee人事労務を使っていれば、freee人事労務の「部門」とfreee会計の部門タグを先に対応させておくと、給与の取引を部門タグごとに分けて連携できます。スタータープランでは使えません
  4. 共通の費用を分けるなら(スタンダードプラン以上):費用の配賦の機能があります。スタータープランでは使えません。配賦した仕訳は、月次推移で「配賦仕訳を含めない」表示に切り替えられます

出典:freee会計で部門別会計を行う/費用の配賦(部門への割り当て)を行う/月次推移(損益計算書・貸借対照表)を確認する/人事労務・会計連携 - 給与取引に連携される部門を設定する/freee会計の料金

連携で入ってくる仕訳も、同じ分け方にする

給与・勤怠・経費を会計につないでいると、仕訳の多くは連携で入ってきます。私も、給与・勤怠・経費から会計へ仕訳が入るように連携していました。連携で入る仕訳に部門や補助科目が付かないと、表②の人件費が全部「部門なし」になります。連携元のサービスで、部門や科目の対応をどこで設定するかを、切り替える前に各サービスのヘルプで確かめておきます。マネーフォワードの経費との連携は 経費と会計の連携 にまとめています。

③ CSVで書き出す:表ごとに、どの画面から出すか

作る表マネーフォワード クラウド会計freee会計
表① 月次推移「会計帳簿」→「推移表」(月次)→ CSVで出力「会計帳簿」→「損益計算書(月次)」→[エクスポート]→[CSV・PDFエクスポート]
表② 部門別の損益「会計帳簿」→「部門別集計表」→ CSVで出力試算表(損益計算書)の部門比較 → CSV(上限は上のプランの表)
表③ 固定費の一覧「推移表」で「補助科目を表示」にして出力、または「仕訳帳」で科目を絞り込んで「エクスポート」→ CSV形式月次推移で科目の内訳(品目)を表示、または「仕訳帳」の[インポート・エクスポート]→ CSV
  • マネーフォワードの推移表は、部門を指定して 金額を出せます。月次・四半期・半期・年次を切り替えられ、CSVとPDFで出力できます(「推移表」画面の使い方)
  • マネーフォワードの部門別集計表は、期間・補助科目の表示・税抜か税込か(経理方式が「税抜(内税)」の事業者だけ)・子部門・決算整理仕訳を含めるかを選んでから、CSVかPDFで出力します(「部門別集計表」画面の使い方)
  • マネーフォワードの仕訳帳のCSV形式には、取引No・取引日・勘定科目・補助科目・部門・取引先・税区分・インボイス・金額・摘要・タグ・メモの列が入ります。すべての項目がほしいときは「MF形式」で出力します(「仕訳帳」画面の使い方)
  • freeeの月次推移は、取引先・品目・部門・メモタグで絞り込めます。ただし 部門で絞り込めるのは損益計算書だけ です。タグが1,000件を超えると画面で内訳を出せないので、CSVで見ます(月次推移を確認する)
  • freeeの月次推移のCSVは、分類と勘定科目を1列にするか、階層ごとに列を分けるかを選べます。毎月同じ選び方で出す と、貼り付け先の表が崩れません(月次推移を確認する)
  • freeeの仕訳帳は、CSVのほか弥生会計などの形式でも出せます(各種データエクスポートまとめ([会計帳簿]メニュー))

④ 3つの表の見本(ダミーデータ)

従業員10人前後で、「受託」と「自社サービス」の2つの事業がある会社を想定した見本です。金額はすべて架空です。

表① 月次推移(全社・単位:千円)

科目4月5月6月3か月計
売上高6,0005,4006,60018,000
外注費1,8001,5002,1005,400
売上総利益4,2003,9004,50012,600
人件費3,0003,0003,0009,000
地代家賃4004004001,200
その他の販管費5004505501,500
営業利益30050550900

見ること:5月に利益が落ちたのは、売上が減ったのに人件費と家賃が同じだから、と一目で分かります。科目は会計ソフトのままではなく、社長が見たい粒度にまとめます(販管費の細かい科目は「その他の販管費」に寄せる、など)。まとめ方を毎月変えないことが大事です。

表② 部門別の損益(6月・単位:千円)

科目受託自社サービス共通合計
売上高4,8001,80006,600
外注費1,90020002,100
売上総利益2,9001,60004,500
人件費1,8007005003,000
地代家賃00400400
その他の販管費150250150550
部門の利益950650−1,050550
共通費を人数(6人:3人)で分けた後250300—550

見ること:共通の費用を分ける前は受託のほうが利益が大きく見えますが、人数で分けると差が縮まり、逆になります。共通の費用を分けるかどうか・何の割合で分けるかで、見え方が変わる ので、分け方は社長と決めて表の下に書いておきます。どちらにしても、合計の550は表①の6月の営業利益と同じ です。ここが合わなければ、部門の付け忘れか、書き出した日の違いです。

表③ 固定費の一覧(補助科目・品目ごと・単位:円)

支払い(補助科目・品目)6月5月差
バックオフィスのクラウド18,00018,0000
チャットツール9,0008,100+900
オンライン会議6,0004,000+2,000
ファイル共有4,0004,0000
ドメイン・サーバー3,0003,0000
計40,00037,100+2,900

見ること:毎月同じはずの支払いが増えた行だけを見ます。人数を増やした、プランが変わった、解約し忘れた、のどれかであることが多いです。補助科目をツールごとに作ってあれば、マネーフォワードは推移表を補助科目の表示で出し、差の列を足すだけでこの表になります。freeeは、品目タグをツールごとに付けておけば、月次推移で科目の内訳として品目別に見られます。CSVに内訳の行が入っているかは、書き出したファイルで確かめてください。

仕訳帳のCSVから集計するとき

推移表や部門別集計表のCSVは、すでに集計された形で出てきます。表③を仕訳帳のCSVから作るときだけ、表計算ソフトで集計します。

  1. 「貼り付け用」のシートに、書き出したCSVをそのまま貼る(列を消したり並べ替えたりしない)
  2. 「表」のシートで、SUMIFS関数で集計する。例:=SUMIFS(金額の列, 補助科目の列, "チャットツール", 取引日の列, ">="&月初の日, 取引日の列, "<="&月末の日)
  3. 表の下に、どの画面から・いつ書き出したか を1行書く

金額の列が借方・貸方で分かれているかなど、列の並びはソフトと出力の形式で違います。式を作る前に、書き出したファイルの1行目(列の名前)を確かめてください。

⑤ 毎月の段取り(一人担当向け)

いつ何をする見る所
締めの日月次の締めを終える(一人経理の月次の締め)部門・補助科目の付け忘れがないか
締めの翌日3つのCSVを書き出して、貼り付け用のシートに貼る毎月同じ画面・同じ条件で出したか
同じ日表②の合計と表①の同じ月を突き合わせる利益が一致するか
社長に出す日3つの表を出す。説明は「先月から変わった所」だけにする表③の増えた行、表②の部門の順位の変化

つまずきやすい所

  • 期の途中から部門を付け始める:付け始める前の月は、全部「部門なし」になります。途中から始めるなら、表②は付け始めた月から作り、前年同月との比較はしない、と決めておきます
  • 部門の付け方が月によって違う:同じ費用が、ある月は「共通」、ある月は「受託」になると、部門の利益が比べられません。どの費用をどの部門にするかを、一覧にして残しておきます。私が一人で回してきて、先にやっておけばよかったと思っているのは業務フローのルール化です。部門の付け方の一覧も、ルールとして残すものの一つにできます(業務フローのルール化)
  • 部門を作りすぎる:10人規模で部門を細かくすると、付け忘れと付け間違いが増えます。まず事業の数だけにします
  • 会計ソフトの数字と表の数字の違いを聞かれる:共通費を分けた表や、科目をまとめた表は、決算書と形が違います。表の下に「決算書との違い(共通費の分け方・まとめた科目)」を書いておくと、税理士や社長に聞かれても答えられます
  • freeeで貸借対照表の科目を部門で見ようとする:月次推移で部門の絞り込みができるのは損益計算書だけです
  • マネーフォワードで部門ごとの決算書を作ろうとする:部門ごとの決算書は作れません。部門別集計表で見ます

よくある質問

部門を使わずに、補助科目やタグだけで事業ごとの損益を出せますか?

売上と外注費のように、事業ごとに科目が分かれる所は補助科目(freeeは品目)でも分けられます。ただし補助科目は勘定科目の下の内訳なので、複数の科目をまたいだ「事業の利益」は出せません。freeeの公式ヘルプも、従来の補助科目は複数の勘定科目にまたがる集計に使えない、と説明しています。事業の利益を出すなら部門です。

マネーフォワードのスモールビジネスプランで、部門が足りません

スモールビジネスプランは親部門2つまでで、子部門は作れません。ビジネスプランは無制限です(プランごとに利用できる機能)。料金は マネーフォワード クラウドを10人の会社で使うと年いくらか にまとめています。

freeeのスタータープランで、全部の部門を並べて見られますか?

画面で並べられるのは5部門までで、CSVも一度に5部門までです。公式ヘルプでは、5部門ずつ書き出して加工すれば全部門を比べられる、と案内されています。スタンダードプラン以上は、書き出したデータで全部門を比べられます(freee会計で部門別会計を行う)。プランの違いは freee会計の法人プランと料金 にあります。

予実管理の機能は要りますか?

10人規模で月次の3つの表を回すだけなら、まずは要りません。freeeの予実管理(経営ナビゲーション)は、料金ページではアドバンスプラン以上の機能として載っていて、内容はファイルとして書き出せず、コピー&ペーストで表計算ソフトに移す形です(freee会計の料金/各種データエクスポートまとめ([分析・レポート]メニュー))。予算と比べたくなったら、表①の横に予算の列を足すところから始めると、今の作業のままで済みます。

これから会計ソフトを選ぶ・見直す人へ

部門の上限や、補助科目で持つかタグで持つかは、ソフトによって違います。どちらにするかは、顧問税理士の対応と、今の給与・勤怠ソフトから決める順番を freee会計とマネーフォワード、どっち? にまとめています。

まとめ

  • 分け方は 入力の段階 で決める。事業は部門、支払い先・ツールは補助科目(freeeは品目タグ)
  • 先に プランの上限 を確かめる(マネーフォワードのスモールビジネス以下は2部門まで、freeeのスターターは1階層・CSVは5部門ずつ)
  • 表は 月次推移・部門別の損益・固定費の一覧 の3つ。CSVで書き出し、合計が損益計算書と合うか を毎月突き合わせる

次に読む:補助科目の作り方/一人経理の月次の締め/仕訳を自動化する方法