会計・経費

会計ソフトの乗り換えは「するか・いつか」を5項目で決める:一人経理の判断表とタイミング(弥生・freee・マネーフォワード/2026年版)

結論

乗り換えるかは料金より先に「顧問税理士の対応」と「給与ソフトとのつながり」で決め、切り替えは期首に合わせ、旧ソフトは前期の申告が終わって帳簿を書き出してから解約します。

順番確かめること乗り換える理由になる今は続ける理由になる
①顧問税理士の対応税理士が今のソフトを見られず、毎回ファイルを送っている税理士が今のソフトに対応していて、乗り換え先には対応していない
②口座・カードの明細今のソフトでは会社の口座・カードの明細が取り込めない明細は入っていて、手入力が残る原因が自動仕訳の設定にある
③給与・勤怠・経費とのつながり給与の仕訳を毎月手で入れている。給与ソフトも一緒に変える予定がある給与ソフトと会計ソフトが同じ会社で、仕訳がもう入っている
④10人で年いくらか給与・勤怠・経費まで含めた合計で、下がるか同じ合計で上がり、作業時間も減らない
⑤移す手間と時期次の期首まで3か月以上あり、年末調整・決算と重ならない決算・申告や年末調整まで3か月を切っている
  • 「乗り換える理由」が①か③にあるなら、乗り換える価値が大きい項目です。④だけ(料金だけ)が理由なら、急がなくてかまいません
  • 切り替えるなら 期首。旧ソフトは 前期の申告が終わり、帳簿を書き出してから 解約します。法人の帳簿は原則7年(青色申告で欠損金が出た期は10年)保存します

申し込む前に気になること:

  • 無料で試せる期間:弥生会計 Nextは最大2か月(決算書の作成は使えない)、freee会計は30日間、マネーフォワード クラウドは1か月。弥生とマネーフォワードは、終わっても自動で有料にはならないと公式に書かれています。freeeは、料金ページにクレジットカードの登録が要らないと書かれています
  • 今のソフトから移せるか:向きごとの手順は下の「移す手間」の表から各記事へ
  • 10人でいくらか:会計だけの年額は下の比較表に、給与・勤怠・経費まで含めた年額は freee会計とマネーフォワードの比較 と 弥生会計とfreee会計の比較 にあります

私が使った範囲

私は、弥生会計、freee会計、マネーフォワード クラウドの3つとも使ったことがあります。

  • マネーフォワード クラウドは最初から使っていて、ほかのソフトから移したのではありません。10人規模の会社で経理を一人で担当していて、最終的には会計・給与・勤怠・労務・経費をすべてマネーフォワード クラウドでそろえていました(最後の法人プランはビジネスプラン)
  • 弥生会計からfreee会計へ切り替えたときのことは、下の「⑤ 移す手間とタイミング」に書いています
  • この記事の比較表にある弥生会計 Next は、私が使った版とは限りません

ただし、3つを横に並べて比べてから選んだわけではありません。この記事の比較表は、各社の公式情報だけで作っています。おすすめの順位は付けていません。

この記事が役に立つ人

  • 従業員10人前後の会社で、経理を一人で担当していて、会計ソフトを乗り換えるか迷っている人
  • 乗り換えると決めたが、いつ切り替えるか、旧ソフトをいつ解約するかが決まっていない人
  • 社長に「なぜ変えるのか・いくらか・いつか」を説明しないといけない人

この記事は、10人規模の会社で一人担当が「今のままでいいか」を決める ことと、乗り換えたあとの旧ソフトの扱い に絞っています。

乗り換えない方がいい場合

先に、急いで乗り換えなくてよい場合を挙げます。作業を増やさないためです。

  • 不満の原因が、今のソフトの設定で直る:明細は入っているのに手入力が多いなら、まず自動仕訳(自動登録)のルールを見直します。マネーフォワードなら 自動仕訳ルールの作り方
  • 顧問税理士が今のソフトに慣れていて、乗り換え先には対応していない:決算のたびにデータの受け渡しが増えます
  • 決算・申告や年末調整まで3か月を切っている:対応表づくりと突き合わせの時間が取れません。次の期首に回します
  • 料金の差だけが理由:乗り換えの作業時間を考えると、差が小さければ元が取れません。マネーフォワードの2027年6月の値上げが理由なら、先に 続ける場合のプランの選び方 を見てください

① 顧問税理士が対応しているか

決算と申告を税理士に頼んでいるなら、税理士がそのソフトで帳簿を直接見られるか を最初に確かめます。見られないと、月次や決算のたびに、書き出して送る・質問をメールでやり取りする・直してもらった内容を入れ直す、という往復が一人担当に残ります。

私が会計ソフトを選んだときも、税理士が対応しているかどうかが決め手 でした。

聞き方と、そのまま送れる文面は 会計ソフトは顧問税理士の対応を確かめてから選ぶ にまとめています。「どのソフトがいいですか」ではなく、「このソフトなら、データをどう受け取れますか」と聞くのがこつです。

② 口座・カードの明細

弥生会計 Next・freee会計・マネーフォワード クラウドは、どれも口座やカードの明細を取り込んで仕訳にする仕組みを持っています。確かめるのは、会社で使っている銀行とカードが、乗り換え先の対応一覧に入っているか です。

一つでも対応していない口座があると、その口座の分は明細のCSVを取り込むか、手で入れることになります。乗り換え先の無料期間に、実際の口座を1つつないでみる のが早い確かめ方です。

③ 給与・勤怠・経費とのつながり

一人担当の作業時間に効くのは、会計ソフト単体の使いやすさより、給与・勤怠・経費から仕訳が自動で入るか です。

私も、給与・勤怠・経費から会計へ仕訳が入るように連携していました。freee人事労務を使っていたときは、給与の仕訳を会計freeeへ連携していました。

3社とも、同じ会社の給与ソフトから会計へ給与の仕訳を送れます。

  • 弥生:弥生給与 Next は、弥生会計 Next・デスクトップ版の弥生会計と連携できると案内されています(弥生給与 Next)
  • freee:freee人事労務の給与の仕訳を、freee会計へ連携できます
  • マネーフォワード:クラウド給与で確定すると、クラウド会計の「給与から入力」に仕訳候補として入ります(「マネーフォワード クラウド会計連携」機能の使い方)

逆に言うと、給与ソフトを変えないまま会計ソフトだけ別の会社にすると、給与の仕訳を毎月取り込む作業が残ります。給与ソフトも変えるなら、会計と一緒に決めて、同じ期首に合わせます。

④ 10人で年いくらか

月額の基本料金だけで比べず、会計・給与・勤怠・経費をそろえたときの年額 で比べます。従業員の人数で料金が変わるので、今の人数と、1年後の人数の両方で出します。

参考までに、私のときは10人規模で、バックオフィスのSaaSの合計が 月2万円以下 でした。これは当時の料金です。今の料金は公式の料金ページで確かめてください。

10人での詳しい試算は、条件ごとに別の記事にまとめています。

⑤ 移す手間とタイミング

今のソフトから 何が移せて何が移せないか を確かめ、切り替えを 期首 に置けるかを決めます。期の途中で切り替えると、1つの事業年度の帳簿が2つのソフトにまたがらないよう、期首からの仕訳をまとめて移す必要が出ます。

私が弥生からfreeeに切り替えたときは期首に切り替え、開始残高は一度で合いました。

移すときに時間がかかるのは、科目の置き換えです。内訳の持ち方はソフトごとに違います(たとえばfreeeは独自の科目やタグ、マネーフォワードは補助科目で分けます)。そのため、移す前に、旧ソフトの科目・補助科目(タグ)と、乗り換え先の置き場所の対応表 を作ります。

向きごとの手順は、こちらにまとめています。

今のソフト → 乗り換え先記事
弥生会計 → freee会計弥生会計からfreee会計へ移行する手順
freee会計 → 弥生会計freee会計から弥生会計へ移行する手順
弥生会計・freee会計など → マネーフォワードマネーフォワード クラウド会計への乗り換え手順

マネーフォワード クラウド会計には「他社ソフトデータの移行」の機能があり、弥生会計(仕訳・勘定科目・開始残高)やfreee(仕訳)からの取り込みに対応しています(他社ソフトとのデータ移行(マネーフォワード))。どのソフトへ移す場合も、取り込みの形式(列の並び・科目名・税区分の書き方)は、本番の前に1か月分で試すと、止まる所が先に分かります。私もマネーフォワードに仕訳を取り込んだとき、CSVの形式の違いで止まったことがあります。取り込みで止まったときの見方は 仕訳のインポートが止まるとき にあります。

3社を5項目で並べる(公式情報・2026-09-25確認)

判定の記号は付けていません。どれが合うかは、①の税理士と③の給与ソフトでほぼ決まるためです。

弥生会計 Nextfreee会計マネーフォワード クラウド
① 税理士対応しているかを顧問税理士に聞く(聞き方)同じ同じ
② 明細の取り込み口座・カードの明細から仕訳にする仕組みあり同じ同じ
③ 給与から会計へ弥生給与 Next から連携freee人事労務から連携クラウド給与から「給与から入力」へ
④ 会計だけの年額(年払い・税抜・会計を使う人3名まで)ベーシック 50,400円スターター 65,760円スモールビジネス 53,760円(2027年6月1日以降の更新から 64,560円)
⑤ ほかのソフトからの取り込みfreeeからの手順はこちら弥生からの手順はこちら弥生会計(仕訳・勘定科目・開始残高)・freee(仕訳)などから(公式の案内)
無料で試せる期間最大2か月(ベーシックプラス相当。決算書・達人連携は除く。自動で請求されない)30日間(クレジットカードの登録なし)1か月(ビジネスプラン相当。自動で有料にならない。1事業者1回)
解約したあとの旧データ解約した契約のデータは、再契約しても引き継げない下の「旧ソフトのデータの保存」を参照データは残るが、使える機能は一部制限される。必要なデータは解約前に書き出す
申し込み(広告)弥生会計 Nextを無料で試すfreee会計を無料で試すマネーフォワード クラウドを無料で試す

期首から逆算した段取り

一人担当が普段の月次と並べて進められるよう、期首から逆算します。

いつやること
期首の3〜4か月前顧問税理士に、乗り換え先に対応しているかを聞く。社長に「変えたい理由・年額・時期」を通す
期首の2〜3か月前乗り換え先の無料期間で、口座を1つつなぎ、1か月分の仕訳を取り込んでみる。止まった所を書き出す
期首の1〜2か月前科目・補助科目(タグ)・取引先の対応表を作る。給与ソフトも変えるなら、給与の仕訳の入り方を決める
期首新しいソフトで入力を始める。開始残高は、いったん前期末の試算表で入れる
前期の決算・申告のあと前期の決算整理で変わった残高を入れ直し、決算書と突き合わせる
突き合わせが合ったあと旧ソフトから帳簿を書き出して保存し、それから旧ソフトを解約する
  • 無料期間は1事業者1回までのもの(マネーフォワードなど)があるので、試すのは対応表を作る直前 にします。早すぎると、本番の前に期間が終わります
  • 年末調整(11〜1月)と、決算・申告の月には、準備の作業を置かないようにします。一人担当はここで手が止まります

旧ソフトのデータの保存と、解約のタイミング

乗り換えたあとに困りやすいのがここです。

法人の帳簿書類は、確定申告書の提出期限の翌日から7年間 保存します。青色申告で欠損金が出た事業年度は 10年間 です(国税庁 No.5930 帳簿書類等の保存期間)。

乗り換え先に移すのが開始残高だけなら、前期までの帳簿は乗り換え先に入っていません。旧ソフトを解約する前に、次のものを書き出して保存します。

  • 各期の仕訳帳・総勘定元帳・試算表・決算書(PDFとCSV)
  • 固定資産台帳
  • 勘定科目・補助科目・取引先の一覧
  • 旧ソフトに保存していた領収書・請求書のデータ

解約したあとの扱いは、ソフトによって違います。

  • 弥生のクラウド:解約した契約で使っていたデータは、再契約しても引き継げないと案内されています
  • マネーフォワード クラウド:解約後もデータは残りますが、使える機能は一部制限されます。公式も「必要なデータは解約前に保存する」よう案内しています
  • freee会計:契約が切れたあとの閲覧・書き出しの扱いと、事業所の削除との違いは、freee会計から弥生会計へ移行する手順 の「freeeのデータの保存と、解約のタイミング」にまとめています

解約は、前期の申告が終わり、書き出したファイルが開けることを確かめてから にします。領収書・請求書のデータを電子のまま保存するか紙にするかには、電子帳簿保存法の決まりがあります。保存のしかたは、顧問税理士と決めてください(国税庁 電子帳簿等保存制度特設サイト)。

移したあとの突き合わせ

移したあとは、旧ソフトと新しいソフトで、次の4つを比べます。1つでも合わなければ、先に進まずに原因を探します。

比べるもの見る所合わないときに多い原因
件数取り込んだ仕訳の件数取り込めなかった行がある。同じファイルを2回取り込んだ
合計期間内の借方・貸方の合計税区分の置き換えで税額が変わった
残高科目ごとの期末残高(試算表)開始残高の入れ間違い。前期の決算整理の前の残高で入れた
期間最初と最後の仕訳の日付会計期間の設定がずれている

社長に送る一言(見本)

【 】の中だけ埋めて使えます。

会計ソフトを【今のソフト】から【乗り換え先】に変えることを提案します。
理由は【給与の仕訳を毎月手で入れている/税理士が今のソフトを見られない】ためです。
顧問の【○○】先生は、【乗り換え先】に対応していることを確認済みです。
費用は、給与・勤怠・経費まで含めて年【○○】円(税抜・年払い)の見込みで、今より【○○】円【増える/減る】見込みです。
切り替えは【○年○月】の期首からにして、年末調整と決算の時期は避けます。
今のソフトは、前期の申告が終わって帳簿を書き出してから解約します。

つまずきやすい所

  • 無料期間を早く使い切る:試すのは、対応表を作る直前にします
  • 旧ソフトを先に解約する:前期の決算・申告を旧ソフトでするなら、解約は申告のあとです。弥生のクラウドは、解約した契約のデータを引き継げません
  • 期首に入れた開始残高のまま確定させる:前期の決算整理で残高は変わります。申告が終わった時点で、もう一度入れ直して突き合わせます
  • 給与ソフトのことを後で考える:会計だけ変えると、給与の仕訳を取り込む作業が残ります。給与も変えるなら、同じ期首に合わせます
  • 月額の基本料金だけで比べる:10人規模では、給与・勤怠・経費の人数分が別にかかります

よくある質問

期の途中で乗り換えてもいいですか。できます。ただし、期首から切り替え日までの仕訳を乗り換え先にまとめて移す必要があります。急ぐ理由がなければ、次の期首まで今のソフトで続け、その間に無料期間で対応表を作る方が、一人担当の負担は小さくなります。

前期までの仕訳も、全部移した方がいいですか。乗り換え先の画面で前期と比べたい理由がなければ、開始残高だけで始める形が軽いです。前期までの帳簿は、旧ソフトから書き出したファイルで保存期間のあいだ残します。

旧ソフトはいつ解約すればいいですか。前期の決算・申告が終わり、帳簿を書き出して、ファイルが開けることを確かめてからです。あわせて、今の契約の更新日を契約の画面で確かめ、更新の前に間に合うかを見ておきます。途中で解約したときの返金の扱いは、各社の規約で確かめてください。

税理士が乗り換え先に対応していないときは。乗り換えを見送るか、税理士とデータの受け渡し方法(書き出す形式・頻度)を先に決めてからにします。聞き方は 税理士に聞く3つのこと にあります。

まとめ

  • 乗り換えるかは 税理士の対応 → 明細 → 給与・勤怠・経費とのつながり → 年額 → 移す手間 の5項目で決める。料金だけが理由なら急がない
  • 切り替えは 期首。準備は年末調整と決算の月を避けて、期首から逆算する
  • 旧ソフトは 前期の申告が終わり、帳簿を書き出してから 解約する。法人の帳簿は原則7年(青色申告で欠損金が出た期は10年)

私の場合は、乗り換えて毎月の作業時間は実際に減りました。

次に決めること: